ブリング喫食後の白蟻の挙動について

廣瀬産業株式会社

1.はじめに

イエシロアリの再発がない、確実な駆除を目指し、イエシロアリを巣ごと駆除する、駆除専用のベイト工法ブリングシステムを開発した。駆除期間が短く、点検回数が少なく、確実に駆除できること等が評価され、ブリングを使用する業者が増えている。
イエシロアリ生息部にブリングシステムを設置すると、イエシロアリは、誘導集中、大量喫食、職蟻衰弱、職蟻死滅、巣崩壊、残蟻逃避、残蟻死滅の経過を辿り、全て死滅する。ブリングシステムは、ボックスの蓋を開けるだけで、これらのシロアリ挙動を簡単に観察できる。ブリングシステム設置後シロアリが示す、ブリングシステム特有の動き(誘導集中、大量喫食、残蟻逃避等)を紹介する。

2.ブリングシステムの構成

ブリングシステムはブリングボックスとブリングベイトで構成されている。シロアリが活動する場所にブリングボックス1〜2個を設置し、ブリングベイト(毒餌)を投与し、イエシロアリを駆除する。

2.1ブリングボックス

写真01 ブリングボックス ブリングボックス(右写真)はシロアリが好む蒸煮材のボックスと断熱蓋で構成されている。

各部材
@蒸煮材ボックス 250×330×38mm
A断 熱 蓋    295×375×16mm

2.2ブリングベイト

ブリングベイト(写真2,3)は白色固型コイン状のブリングベイトA剤と薄褐色粉末のブリングベイトB剤の2種類で構成されている。各剤にはシロアリが好む蒸煮材の粉末が含有され、A剤にB剤と水をかけることで、優れた誘引性、喫食性を実現する。
写真02 ブリングベイトA剤
A)ブリングベイトA剤(左写真)
形状:白色固型コイン状(直径20×厚さ3.2o)
成分:ビストリフルロン、蒸煮材粉末、増量剤

写真03 ブリングベイトB剤
B)ブリングベイトB剤(左写真)
形状:薄褐色粉末
成分:ビストリフルロン、蒸煮材粉末、増量剤

2.3蒸煮材・蒸煮材粉末

カラマツを高圧高温の蒸気で長時間蒸した蒸煮材は、シロアリが好んで食害する。ブリングボックスにはこの蒸煮材を使用し、ブリングベイトには蒸煮材粉末を添加した。

2.4有効成分:ビストリフルロン

ブリングベイトは有効成分として、ベンゾイルフェニルウレア系脱皮阻害剤ビストリフルロンを含有している。

3.ブリングシステムの流れ

ブリングシステムの流れを以下に示す。
図1 ブリングシステムの流れ

A) シロアリ生息調査
B) ボックス設置・ベイト剤投与(下左写真)
C) 点検補充(下右写真)
E) 死滅確認ボックス撤去
F) 薬剤散布・維持管理
写真04 畳設置状況 写真05 2週目ベイト剤400g全量喫職

4.シロアリ挙動の分類

ブリングボックスに誘導され、ブリングベイトを喫食したシロアリは、ベイト剤により衰弱し、死滅する。その挙動は、経過時間により、四つに分類できる。その分類とシロアリの挙動を以下に示す。

1)初期

写真06 大量誘引 @誘導集中
  シロアリがボックスに大量に集まる。
  (数千から数万匹)
  ボックスの隙間を蟻土で覆う。
  (点検時、蓋を開けるのに力を要す)
  ボックスへの蟻道を拡張する。
  巣に近いボックスに多く集まる。
  ボックスの数は1〜2個で足りる。

A大量喫食
  水を高含有したベイトを大量に喫食する。
  喫食量は、巣の大きさ(数)に比例する。
  (大きい巣では10日で400g喫食)

2)中期

B職蟻衰弱
写真07 兵蟻衰弱   喫食したベイト剤により職蟻が衰弱する。
  蟻道、蟻土の補修が粗雑になる。
  (蓋は簡単に開く。力を要しない。)
  (職蟻は衰弱し、蟻土の形成に必要な砂、
   水の運搬が困難になる。)
  職蟻の動きが緩慢になる。
  職蟻の腹部が白く濁り、透明感無くなる。
  兵蟻も衰弱する。
  (兵蟻を触ると、攻撃せず逃げる。)
  (噛んでも直ぐ離す。噛む力が弱い。)

3)末期

C職蟻死滅
  職蟻は衰弱し、大半は巣内で死滅する。
  職蟻が減少し、兵蟻の比率が増加する。
  蟻土、蟻道に割れ、崩落発生。
  (蟻土蟻道の含水率低下による収縮割れ)

写真08 死滅 D巣崩壊
  巣内の死骸にカビ、ガスが発生。
  巣の近くで、アンモニア臭確認。
  巣上部の外気孔拡張。

E残蟻逃避
  シロアリはボックス内を旋回し、逃げない。
  ボックス内に大量の兵蟻集まる。
  巣近辺の隙間に兵蟻出現。
  巣から離れたボックス、シロアリ姿無し。

4)死滅

F残蟻死滅
  巣近くに設置したボックス内に死骸発生。
  ボックス内に黄色のカビ発生。
  (シロアリの死骸に発生する特有のカビ)
  巣近辺の隙間に残蟻死骸発生。

5.シロアリ挙動事例報告

ブリングシステムを設置後、シロアリが示す、誘導集中から死滅に至る挙動事例を紹介する。

5.1倉庫事例

42日目点検(巣崩壊 巣上部の外気孔拡張)
倉庫の蟻道に設置42日目、床の外気孔が拡張されていた。外気孔近くの床をハツリ、巣を一部取り出し、職蟻の死骸を確認した。職蟻は腐乱しており、アンモニア臭がした。巣崩壊を確認した。
写真09 倉庫床の外気孔 写真10 倉庫床巣掘り出し 写真11 巣内の職蟻死骸(アンモニア臭)

5.2温泉事例

40日目点検(残蟻逃避、残蟻一部死滅)
 営巣場所と思われる家族風呂から30m離れた場所にボックスを設置した。設置40日目ボックスからシロアリが全ていなくなった。死骸も無かった。巣近くの板壁を取り外し、内部を点検した。板壁内部に多数の兵蟻と職蟻死骸を確認した。巣が崩壊し、残蟻の逃避と残蟻一部死滅を確認した。
写真12 家族風呂壁板撤去内部確認 写真13 板壁隙間の状況 写真14 壁隙間の兵蟻 写真15 壁隙間の職蟻死骸

5.3鉄筋ビル事例

1)20日目点検(誘導集中、大量喫食)
鉄筋ビル床に設置20日目、点検を行った。ベイト剤は300gが喫食されていた。大量の職蟻が蟻道に逃げ込もうと列をなしている。大量の職蟻から、ブリングの誘導集中、大量喫食が確認された。
写真16 ベイト剤喫食状況 写真17 巣に逃げる大量の職蟻

2)30日目点検(誘導集中、大量喫食、職蟻衰弱)
ベイト剤は400g完食されていた。職蟻の動作緩慢
写真18 ベイト剤完食 写真19 ベイト剤完食、職蟻動作緩慢

3)42日目死滅確認(残蟻死滅)
設置42日目、点検を行った。ボックス内には生きたシロアリは見られず、大量の死骸が確認された。シロアリは全て死滅した。死骸からはアンモニア臭がした。大量の死骸から、巣崩壊、残蟻逃避、残蟻死滅が確認された。死滅までの期間も42日と駆除期間が短かい事が確認された。
写真20 死滅確認 写真21 残蟻死滅確認 写真22 残蟻死骸拡大

6.まとめ

従来のベイト工法点検では、ベイト剤の残量確認補充が主で、進捗状況の把握、死滅までの期間推定は難しかった。ブリングシステムでは、点検時にシロアリ挙動を簡単に確認でき、ベイト剤の影響、駆除の進捗状況が把握でき、死滅までの期間も推定できる。設置場所によるが、施主にもシロアリの動きを見せ、信頼を得ている。イエシロアリの駆除には、シロアリの動きが簡単に確認でき、シロアリが短い期間で死滅する、ブリングシステムを推奨する。